遺言のご相談

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相続争いを防止するため遺言を活用しよう

遺言について

遺言とは

遺言とは、遺言者の死亡後にその意思を実現するための制度です。遺言をするためには、口頭で誰かに意思を伝えるだけでは足りず、書面を作成する必要があり、その書面を遺言書といいます。

法律上、遺言することができる事項(法定遺言事項)

法律上、遺言することができる事項は限定されており、主なものは次のとおりです。

  1. 認知
  2. 推定相続人の廃除・廃除の取消し
  3. 祭祀財産の承継者の指定
  4. 相続分の指定・指定の委託
  5. 特別受益の持戻免除
  6. 遺産分割方法の指定・指定の委託と遺産分割の禁止
  7. 遺贈
  8. 遺言執行者の指定・指定の委託

法定遺言事項以外の記載事項

法律上遺言できる事項は上記のとおり限定されていますが、それ以外のことを書いてはいけないということではありません。遺言しようと思った動機や相続人に対する感謝の気持ちなどが記載されることも多く、相続人の心情との関係では、重要な役割を果たしています。

遺言をしておいた方がよい場面

相続対策から、特に遺言をしておいた方がよいと思われるのは次の場合です。

  1. 相続人が大人数となる場合
  2. 相続人の中に判断能力を欠く者や行方不明者がいる場合
  3. 相続人間の感情的対立が予想される場合
  4. 被相続人(亡くなられた方)との関与の程度に応じて相続人の相続割合(取り分)を調整したい場合
  5. 相続人以外の者に財産を渡したい場合

1.相続人が大人数となる場合

具体的場面

親世代の相続関係が未分割のまま放置されている場合や、子がおらず兄弟姉妹が相続するところ、兄弟姉妹が先に死亡している場合などには、相続人が大人数となりがちです。全国に散らばった、世代も異なる相続人間では、話合いの機会を設けること自体も一苦労です。

遺言の活用

このような場合、被相続人(亡くなられた方)が何を誰に相続させるかについて遺言書を書いておけば、相続人間で話合いをする必要もなく、各相続人の負担を大幅に軽減させることができます。

2.相続人の中に判断能力を欠く者や行方不明者がいる場合

具体的場面

例えば、姉・兄(認知症)・弟(行方不明)が相続人となる場合、事実上姉しか相続財産を管理することができませんが、それでも、兄と弟を除外して遺産分割を行うことはできません。
この場合、兄については成年後見人等を選任する必要があり、また、弟については不在者財産管理人を選任する必要がありますが、これらの手続を全て相続人の姉が行わねばならず、その負担は大変なものがあります。

遺言の活用

このような場合、被相続人(亡くなられた方)が姉に遺産を相続させる旨の遺言書を書いておけば、少なくとも相続の段階では、成年後見人の選任や不在者財産管理人の選任は不要であり、相続人の負担を大幅に軽減させることができます。

3.相続人間の感情的対立が予想される場合

具体的場面

相続人となる兄弟同士の仲が良くないなど、既に相続人間の不仲が表面化している場合には、遺産分割をめぐって争いが生じるであろうことは目に見えています。
そうでない場合でも、配偶者と被相続人(亡くなられた方)の兄弟が共同相続人となるような場合など、普段あまり接点のなかった者同士が相続人となる場合には、遺産分割協議の過程で話合いがこじれることが少なくありません。

遺言の活用

このような場合、被相続人が何を誰に相続させるか、どのような考えでそのような遺産分割の仕方を決めたのかについて遺言書を書いておけば、争い事を回避することができます。

4.被相続人(亡くなられた方)との関与の程度に応じて相続人の相続割合(取り分)を調整したい場合

具体的場面

例えば、相続人の1人には既に自宅購入資金を援助しているので、相続させる割合を減らしたい、相続人の1人にはずっと介護をしてもらっているので、相続させる割合を増やしたい、などの被相続人(亡くなられた方)の希望があったとします。
この場合、何もしなければ相続割合は平等となるので、被相続人(亡くなられた方)の希望が叶うことはありません。むしろ、これらの事情について相続人間で寄与分(貢献した分)や特別受益(多くもらっている分)の主張がなされ、相続紛争が生じてしまう可能性もあり得ます。

遺言の活用

このような場合、被相続人(亡くなられた方)が何を誰に相続させるか、どのような考えで各相続人の相続割合(取り分)を増減させたのかについて遺言書を書いておけば、被相続人(亡くなられた方)の意思を実現できるとともに、争い事を回避することができます。

5.相続人以外の者に財産を渡したい場合

具体的場面

例えば、実の息子とは音信不通であり、自宅で内縁の妻にずっと面倒を見てもらっていたので、内縁の妻に遺産を渡したい、という被相続人(亡くなられた方)の希望があったとします。
この場合、何もしなければ相続人は息子となるので、内縁の妻に相続権はありません。具体的事情にもよりますが、最悪の場合、内縁の妻は、自宅を相続した息子から追い出されてしまう可能性もあります。

遺言の活用

このような場合、被相続人(亡くなられた方)が内縁の妻に遺産を相続させる旨の遺言書を書いておけば、内縁の妻を守り、被相続人(亡くなられた方)の意思を実現することができます。

遺言の方法

遺言は、その内容次第では大きな法的効果を持つものですが、効力を生じる時には遺言者は亡くなっていますので、その遺言の内容が本当に遺言者の真意であったのかを確かめることはできません。
そこで、遺言が真意に基づくものであったことを担保する意味で、遺言の方法は法律で定められており、それ以外の方法では法的効果を生じないこととされています。大きく遺言の方式として、「普通の方式」と「特別の方式」があります。

普通の方式

遺言の種類

  • 自筆証書遺言
    自筆証書遺言は、文字通り、自筆で遺言書を作成する方式の遺言です。
  • 公正証書遺言
    公正証書遺言は公証人に遺言書を作成してもらう方式の遺言です。
  • 秘密証書遺言
    秘密証書遺言は、自分が作成した遺言書に封をして、これを公証人に提出する方式の遺言です。

利用状況

自筆証書遺言と公正証書遺言は一般に広く利用されています。他方、秘密証書遺言は、遺言したこと自体は明らかにしておきたいが、その遺言の内容は公証人にも立会者にも知られたくない、という場合の利用を想定した方式ですが、あまり利用件数は多くありません。

特別の方式

遺言の種類

  • 死亡危急時遺言
  • 伝染病隔離者遺言
  • 在船者遺言
  • 船舶遭難者遺言

利用状況

いずれの方式も通常は経験しないものですが、死亡危急時遺言については、そのような手続が必要になる場面に遭遇することはあり得ます。
ただ、その場合でも、自筆証書遺言の方式を利用すること、あるいは公証人を病院まで呼んで公正証書遺言を作成することは可能であり、実際にもそのような方式が選択されることの方が多いと思われます。

自筆証書遺言について

自筆証書遺言の要件

自筆証書遺言では、「遺言書全文の自書」「日付の記載」「氏名の記載」「押印」が要件となっています。
また、記載内容の加除訂正の場合にも、遺言者が当該箇所を指示し、その箇所を変更した旨を付記して署名すると共に、その変更箇所に押印することが必要です。

遺言書全文の自書とは

自書とは、遺言者が自分で書くことであり、遺言が真意に基づくことを担保するために、これが要件とされています。
したがって、他人の代筆は認められませんし、ワープロで作成することも認められません。録音・録画も、法的に有効な遺言とはなりません。
他方、自書さえあれば、記載されている紙は何でもよく、便箋でもメモ用紙でも構いません。
このように、自書が要求されていることから、病気その他の理由で文字を書くことができない場合には、自筆証書遺言を作成することはできず、その場合には公正証書遺言を利用することになります。

遺言書の日付について

日付の記載は、遺言作成日時を明確にするためであり、複数遺言書が存在する場合の優先関係などを判断する上で、重要な意味を持っています。
日付の記載方法については、端的に作成日時を記載すれば足ります。
なお、例えば「70歳の誕生日」との記載は問題ありませんが、「吉日」との記載は不十分ですので注意が必要です。

遺言書の氏名について

氏名の記載は、遺言者が誰かを特定するために必要とされます。
氏名の記載方法については、戸籍上の氏名を記載するのが確実ですが、旧姓や通称の記載でも有効と考えられています。

遺言書の押印について

押印については、実印でもその他の印鑑でも、法的効力に違いはありません。もっとも、後日仮に遺言内容が争われた場合に、実印が使用されていた場合には、(その他の印鑑が使用されていた場合と比べて)本人の真意に基づくものであったと認められやすい一面があります。その意味で、実印を使用する方が安全です。
なお、遺言書が複数枚になった場合に、契印が押されることがありますが、これは自筆証書遺言の要件として要求されるものではなく、少なくともそのうちの1枚に押印があれば、自筆証書遺言の要件は満たします。
もっとも、遺言書の落丁や差替えを防ぐという意味では、やはり契印があった方が安全です。

自筆証書遺言の要件を満たしていない場合

自筆証書遺言では、「遺言書全文の自書」「日付の記載」「氏名の記載」「押印」が要件となっており、これらが1つでも欠けると、自筆証書遺言は無効となります。例えば、故人が手元の紙に日常の思いをしたためていた中に、「お世話になった嫁に家を譲る」などと書いてあった場合に、これが遺言書として認められるかどうかが後日問題となることがありますが、このような場合には日付や押印がないことが多く、いかに故人の思いに溢れた文章であっても、残念ながら遺言書としては無効となります。
また、自筆証書遺言では、加除修正の方法も法律で定められているので、これに従わず、単に捨印方式で修正してしまったような場合には、その修正は効力を持ちません。その結果、文章全体が意味をなさなくなるような場合には、やはり遺言書は無効となってしまいます。

遺言をするには遺言能力が必要

遺言は遺言者の真意に基づくものである必要がありますので、遺言当時、遺言者にある程度の判断能力が備わっている必要があります。
このような遺言を作成することができるだけの判断能力のことを遺言能力といい、15歳以上の者には基本的に遺言能力が認められるのですが、認知症や何らかの精神疾患によって判断能力が失われた場合には、その時作成した遺言書も無効となってしまいます。
特に高齢者の方が遺言をする場合には、この遺言能力が疑われることが多く、この点が相続人間で争点となった場合には、過去のカルテや入院履歴などを取り寄せての詳細な検討が必要になります。
なお、遺言能力はあくまでも遺言当時に必要なものであり、遺言後に認知症が進んで遺言能力が失われた場合でも、作成済の遺言の効力に影響はありません。

遺言の記載内容が不明確な場合

自筆証書遺言の場合には、遺言の方式に不備がなく、遺言能力も問題がなかったとしても、その記載内容が不明確で特定し得ない、ということがしばしばあります。例えば、単に「財産を譲る」とだけ書いてある場合、どの財産を渡す趣旨なのかわかりません。このような場合には、遺言が有効であったとしても、その記載内容が特定できず、結局、その部分については遺言内容を実現することはできなくなってしまいます。
特に、不動産の登記手続との関係では、不動産の表記方法などの不備ゆえに、相続手続ができない事例が頻繁に見受けられます。

遺留分減殺請求との関係

遺言書が有効であったとしても、その内容が相続人の遺留分を侵害している場合には、相続人が遺留分を主張すれば、その限度で遺言の効力は失われることになります。
なお、遺留分とは相続人が最低限もらえる取り分のことです。

公正証書遺言について

公正証書遺言の要件

公正証書遺言では、「証人2名以上の立会い」「遺言の趣旨を公証人に口授」「公証人による筆記・読み聞かせ・閲覧」「遺言者および証人の署名押印」(「公証人の付記・署名・押印」)が要件となっています。
公証役場に出向いて作成することが通常ですが、公証人に病院や自宅に来てもらい、そこで作成することも可能です。

公正証書遺言では証人2名以上の立会いが必要

公正証書遺言では証人2名以上の立会いが必要となります。なお、未成年者および利害関係人は証人になれないとされていますが、それ以外であれば、誰でも証人になることができます。
実務的には、証人を頼みやすい親族は利害関係人であることが多く、また、後日仮に遺言内容が争われた場合には紛争に巻き込まれる可能性があることから、司法書士・行政書士や弁護士などの第三者が証人となることが多くあります。

公正証書遺言作成の流れ

まず、遺言内容の概略を公証人に口頭で伝えます。実務的には、事前に公証人に遺言内容を伝えて案文を作成してもらっておき、作成当日にその内容を再度確認する、という流れになることが通常です。
これらの要件は、主に公証人の業務に関する事柄であり、遺言者のすることは遺言内容を公証人に伝えることだけです。ただ、この時に遺言内容を上手く公証人に伝えることができないと、遺言能力に疑問があるということで公正証書遺言の作成ができなくなることがありますので、それなりの準備が必要です。
なお、遺言者が言語・聴覚機能障害者の場合には、通訳の利用が可能です。

公正証書遺言者および証人の署名押印

署名・押印とも、遺言者・証人各自が自分で行うのが原則ですが、遺言者の署名については、病気その他の理由で文字を書くことができない場合には、公証人がその旨を付記することで、署名を省略することができます。
押印については、実印でもその他の印鑑でも、法的効力に違いはありません。
ただし、実務上、少なくとも遺言者については、印鑑証明で本人確認や住所確認を行う関係上、実印での押印が必要となることが多いです。

公正証書遺言書の保管

遺言書は原本・正本・謄本の3部が作成され、原本は公証役場において保管、残りの正本と謄本は遺言者が保管することになります(1部を遺言者が、もう1部を証人が保管することが通常ですが、誰が保管しても構いません。)。

公正証書遺言の作成費用

公正証書遺言を作成する場合には、公証人に諸費用を支払うことになります。
基本的な手数料は、遺言の対象となる目的財産の価値によって異なります。(例:目的財産が200万円を超え500万円以下の場合には11,000円、5,000万円を超え1億円以下の場合には43,000円など。詳細は日本公証人連合会のホームページで公開されています。)。これに、遺言書の枚数に応じた手数料加算などが行われて金額が決定します。
公証人に病院等まで来てもらう場合には、交通費・出張日当が必要となり、基本手数料も50%加算となりますので、それだけ費用は高額となります。
実務的には、遺言書の案文を事前に作成してもらう際に、費用総額についても伝えてもらい、その金額を当日現金で支払う流れになることが通常です。

公正証書遺言が無効となることはほとんどない

公正証書遺言が無効となる場合としては、公正証書遺言の要件である「証人2名以上の立会い」「遺言の趣旨を公証人に口授」「公証人による筆記・読み聞かせ・閲覧」「遺言者および証人の署名押印」(「公証人の付記・署名・押印」)のいずれかが欠けた場合、遺言書作成当時の遺言者に遺言能力がない場合、その他、遺言の記載内容が不明確な場合が考えられます。
もっとも、公正証書遺言は、公証人が作成するものであるため、要件を満たさないまま遺言書が作成される事態はあまり想定できませんし、遺言の記載内容が不明確になることも考えられません。
遺言能力の点についても、遺言者が遺言の趣旨を説明する際の態度等から、遺言能力の有無を公証人が確認しますので、公証人によって遺言能力が担保されており、やはりこの点が問題になることは多くありません。
よって、公正証書遺言が無効となることは多くありませんので、確実な遺言を作成したいのであれば、自筆証書遺言よりも公正証書遺言をおすすめします。

遺留分減殺請求との関係は自筆証書遺言と同じ

遺言書が有効であったとしても、その内容が相続人の遺留分を侵害している場合には、相続人が遺留分を主張すれば、その限度で遺言の効力は失われることになる点は、自筆証書遺言と同じです。
なお、遺留分とは相続人が最低限もらえる取り分のことです。

自筆証書遺言と公正証書遺言の長所・短所

自筆証書遺言の長所

  • いつでもどこでも、費用をかけずに自分で作成できる。
  • 用意するのは筆記用具と紙と印鑑だけ
  • 直筆により心情に大きな影響を与えることができる

自筆証書遺言の短所

  • 要件不備や記載内容が不明確などの理由で、遺言が無効となってしまう可能性が高い
  • 家庭裁判所での検認手続が必要
  • 紛失の危険がある

公正証書遺言の長所

  • 後日無効となりにくく、遺言内容の実現が期待できる
  • 家庭裁判所での検認手続きが不要
  • 公証役場に1通保管されるので、紛失の危険がない

公正証書遺言の短所

  • 自筆証書遺言よりも作成費用がかかる
  • 自筆証書遺言よりも手続に時間がかかる
  • 証人2人以上の立会いが必要なので、遺言内容を秘密にできない

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